トラディショナルアーチェリーとは

〜アーチェリーの歴史〜

石器時代に残された壁画には、弓矢で狩猟をする人の姿が描かれています。このことから、記録が残っているよりもはるか昔、学説によると4万年前から、弓矢が使われていたと考えられています。

1991年、イタリアとオーストリア国境の氷河で約5300年前の男性のミイラが見つかりました。 通称「アイスマン」と呼ばれるこのミイラは、制作中のイチイのロングボウと12本の矢を所持していました。5300年前には現在のロングボウとほぼ同じ構造の弓矢が使われていたのです。

ロングボウが最初に戦争で使われたのは、1298年にイギリスがスコットランドに攻め込んだファルカークの戦いだと言われています。このとき、イングリッシュロングボウはイギリスにとって重要な戦力となりました。

1800年代に入り、スポーツとしての近代的なアーチェリーはイギリスで発展しました。その後アメリカで普及しますが、ターゲット競技としてではなく、狩猟の道具として大きく発展することになります。

現在でも、アメリカで行われる狩猟においては、ライフルよりも弓矢を使う方がよりレベルの高いハンティングであるとされ、弓矢を愛用するハンターも多く存在しています。

現代の弓で使われているハンドル、リムなどの設計理論が確立されたのは、1930年代〜1950年にかけてのことで、その20年間で一気に高性能化が進みました。

1951年、アメリカのボウメーカーであるベアアーチェリーが、グラスファイバーとウッドをラミネートしたリムを製造しました。現在に至るまで、時代に応じて素材は変わっていますが、基本的な構造は変化していません。

そして1960年代に入り、アーチェリーにおける20世紀最大の発明といわれるコンパウンドボウがアメリカで誕生します。コンパウンドボウは、両端に偏心滑車を備え、弦を引いた際にアーチャーに掛かる負荷を大幅に減少させるものでした。この機械式の弓は、瞬く間にアメリカに広まり、現代に至るまで様々な進化を遂げています。

トラディショナルアーチェリーとは

1960年代にコンパウンドボウが発明されて以来、多くのアーチャーがコンパウンドボウを手にしました。特にアメリカでは、ハンティングアーチェリーが主流だったため、よりハンティングに向いていると言われるコンパウンドボウが普及しました。

また、ターゲット競技においても様々な新素材を始め、スタビライザー(弓を安定させる棒)やサイト(照準器)などが発明され、進化してきました。

これらの最新の装備を使用せず、昔から使われてきたような弓と矢で行うアーチェリーを「トラディショナル(伝統的な)アーチェリー」といいます。

トラディショナルアーチェリーと言っても、現代の素材や技術が使われていることには変わりはないので、過去の弓とは比較にならないほどの性能差があります。それでも、コンパウンドボウが「機械」だとすればトラディショナルボウは「道具」であり、そのことに魅力を感じるアーチャーが多いのも事実です。

現在、トラディショナルボウとして販売されているのは、以下のようなものになります。

弓の形状は、ロングボウかリカーブボウのいずれかで、ハンドルとリムを分解・組み立てできるテイクダウンボウも含みます。

アルミやマグネシウムなどの金属部品は使用されませんが、テイクダウンボウの場合はハンドルとリムの接合部分に金属部品が使われます。

特に、1種類のウッドで作成された弓(セルフボウ)など、最新の素材・技術を全く使用せずに作られた弓は、プリミティブ(原始的な)ボウとして分類されていることもあります。

トラディショナルアーチェリーの魅力

機械的なコンパウンドボウや、複雑でデリケートなターゲット競技用のリカーブボウに比べると、トラディショナルアーチェリーはとてもシンプルで、弓と弦と矢、そしてアーチャーだけの世界です。

弓を道具として使う楽しさを最も体感できるのが、トラディショナルアーチェリーです。

また、初心者の方にとっては、比較的簡単に始められるというのも魅力のひとつではないでしょうか。本格的にアーチェリーを始めたいのであれば、最寄のアーチェリークラブに所属してきちんと指導を受けた方が良いのは言うまでもありません。

「そこまでではないけど、アーチェリーはやってみたい」という方もいらっしゃると思います。そういう方には、まずはトラディショナルアーチェリーをおすすめします。費用面でも10万円以内で収まりますし、自分のペースで練習することができます。

もちろん、指導を受けずに自己流で練習することで、上達が遅れたり変なクセが付いてしまう可能性はあります。しかし、まったくの自己流で正確な射撃を行うアーチャーが存在するのも事実です。

アーチェリーの間口を広げるという点も、トラディショナルアーチェリーの魅力と言えるのではないでしょうか。

当ショップでは、ベアアーチェリー社のトラディショナルボウを取り扱っております。
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